宮城県立気仙沼向洋高等学校軽音楽部との交流会

第15回プルデンシャルボランティアスピリットにて、僕達軽音楽部が北海道・東北ブロックのコミュニティ賞をいただき受賞式に招待されました。
その会場がたまたま今年度は仙台市だったので、気仙沼市まで足を延ばし、向洋高校軽音楽部と交流会を行ってきました。
気仙沼市に着くと顧問の先生が迎えに来てくれ、最初に被災に遭った向洋高校跡に案内してくれました。
被災してから半年以上もたったはずなのに、その光景を目の当たりにして、今まで僕達の考えていたものがいかにリアリティのないものだったかを思い知らされました。
現在は見えるはずのなかった場所から海が目の前に広がっているそうです。
でも廃墟となった学校はそこに残っていました。
4F建ての校舎の窓ガラスが3階まですべて割れていて、そこまで津波が来たことが分かりました。
学校の横にはひっくり返った家や車、形も残らない瓦礫の山が積み重なっていました。
しかも学校の後ろにはすでに完成していて、すぐに生徒達が使う予定だった新校舎まで廃墟になっていました。
顧問の先生は震災時にその学校の中に残って一晩を過ごしたそうで、その時の恐怖と不安を語ってくれました。
僕達が普通に通って、仲間たちと過ごしている「学校」の、想像もしないその姿に言葉を失いました。
その後に「仮校舎」に案内されました。
その「仮校舎」は気仙沼高校の第二グランドの場所を借りてつくられた山の中にある2階建て、長さは100mほどある建物でした。
一見プレハブのように見えましたが、中に入ると思ったよりも立派で、始めて見るその校舎に感動しました。
3校に分かれていた向洋高校の生徒の皆さんが、11月からこの校舎で一つになって授業が受けられるようになったそうです。



部室に案内されると、30人以上いる部員の皆さんの温かい拍手で迎えられました。
交流会では向洋高校から各学年1バンドずつが代表して演奏を披露してくれました。
向洋高校の皆さんの演奏はどれも、一生懸命でしかも音楽を楽しんでいる雰囲気が伝わるものでした。
そのあと僕が弾き語りで「Challenge for your smile」プロジェクトで提供しているオリジナル曲を演奏しました。
しかし向洋高校の皆さんの演奏に比べ僕の演奏は、慣れない一人での弾き語りに緊張しまくり、満足のいく演奏ができませんでした。
普段バンドのメンバーに助けられているということが、改めて実感できました。
演奏会が終了した後は、質問コーナーになり音楽や部活動についてを中心に交流をしました。
その中で「部活ができて、青春しているなって思う」そんな言葉を聞く事ができてとても感動しました。
あっという間に交流会は終了しました。



解散したした後も、何人かの部員の人達と交流させていただきました。
部室には全国から寄せられた楽器や機材があり「全国の皆さんの期待に応えるためにも、練習頑張らなきゃね」と話していました。
僕らが寄贈した機材も活躍しているそうです。
後で顧問の先生に言われたのですが、今回の交流会が、部活として震災後初めて部員全員が集まって、部室で音を出した日だったそうです。
ですから、最初のバンド演奏で音が出た時に「やっとここまできたんだ」という実感と感動が込み上げたそうです。
きっと部員の皆さんもそう思っていたのではないかと思います。
そんな場面に僕が立ち会えたことは光栄で、素晴らしい思い出になりました。
僕達が普段、普通にできている「部活」の一方で、特別な思いを感じている仲間がいることを考えると、どれだけ僕たちは恵まれた環境で部活ができているんだろうと感じてしまいます。
そして残された「部活」の時間が特別に感じてきます。
この気持ちはみんなに絶対に伝えたいと思います。
また、楽しそうにこの交流会に参加している部員の中にも、親や兄弟、親類や友達を失った人達がいました。
でもそんなことは微塵も感じさせないくらい、表面的には僕らと何も変わらずにいることに「強さ」「たくましさ」を感じました。
まだまだ心の傷は癒されてはいないと思いますが、明るく元気に普通に接してくれる皆さんに感動させられました。
今回の経験は一生の思い出です。
そしてまたいつか第2回交流会が開かれることを楽しみにしています。
交流会を運営していただいた気仙沼向洋高校軽音楽部の皆さんありがとうございました。
そして、このようなチャンスを与えてくれた、プルデンシャルボランティアスピリットの皆さん、ありがとうございました!(クロアン)